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若井 栄一; 菱沼 章道; 阿部 弘亨; 高木 清一*; 安彦 兼次*
Materials Transactions, JIM, 41(9), p.1176 - 1179, 2000/09
鉄イオン照射下で高純度Fe-(18-50)Cr, Fe-50Cr-(5-8)W合金の組織発達と相変態挙動を調べた。薄膜試料を用いて、透過型電子顕微鏡内で300keVの鉄イオン照射を行い、組織の発達過程をその場観察した。また、時効した組織も同様に調べた。Fe-Cr合金では500C照射で転位ループが観察されたが、析出物形成は観察されなかった。Fe-50Cr-W合金では照射によって、転位ループが形成したが、ラーベス相が550700Cの範囲で形成した。低温側では1分程度でラーベス相が形成した。また、670800C照射では相が形成した。これらの析出物形成の原因を調べるために、粒界近傍の溶質原子の偏析を調べたところ、相が形成されない温度ではCr濃度が低下し、W濃度が増加したが、相が形成する温度ではこれらの濃度変化がみられなかった。他方、熱処理のみではラーベス相が短時間では形成しないことや700Cで1000時間時効しても相が形成しないことから、照射により引き起こされる局所的な濃度変化や拡散速度の上昇がラーベス相の形成を著しく促進させ、また、相形成にも大きな影響を及ぼしたと考えられる。
若井 栄一; 橋本 直幸*; 芝 清之; 三輪 幸夫; J.P.Robertson*; R.L.Klueh*
Fusion Materials, 313(25), p.151 - 160, 1999/04
低放射化フェライト鋼であるF82Hに対し、その水素の効果を調べるために、Feを用いてF82H鋼(F82H(Fe)を作成し、中性子照射を行った。照射は米国HFIR炉において、250Cで約3dpaまで行った。照射によって生成される水素量はF82H(Fe)材と標準材でそれぞれ68と5appm程度と推定される。照射前のF82H(Fe)材の組織は、標準材のそれとほぼ同じであった。照射後、微細なキャビティがF82H(Fe)材でのみ観察され、そのスエリング量は0.0001%程度であった。一方、照射によって高密度の転位ループが標準材及びF82H(Fe)材で形成され、その数密度と平均の大きさはそれぞれ、1.410mと7.9nm及び2.110mと6.6nmであった。標準材では(1/2)111タイプのバーガースペクトルを持つ転位ループが形成したのに対し、F82H(Fe)材では111と100の2タイプのループが形成した。またF82H(Fe)材における111タイプの割合は全体の73%程度であった。